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期末テスト(7/27)の解答編(微積A, 2007.7.31)
大切なお願い:各問の得点の合計——特に十の位——は間違っている可能性が高い から,各自,一度はチェッ クしてください.これに限らず,皆さんには採点結果に対して文句を言う権利があるから,おかしいと思った ら文句を言いなさい(もちろん,その文句通りに点が変わるかどうかはわからないけど).なお,少しだけ得 点配分を変え,問1,問2は25点として全体を120点満点で採点した.
なお,得点分布などをwebに載せるのはさすがにまずいだろうから,ここには載せてません.なお,以下のは急 いで作ったので,思わぬミスがあるかもしれません.あくまで自己責任で使ってください.
問1:
(a)覚えていても良いが,以下のように標準的に求められる.y= arctanxならばx= tanyだから,両辺をxで 微分して合成関数の微分を行い,出てきた結果をxで書き直す.答えは
d
dxarctan(x) = 1
1 +x2, d
dxarctan(x2) = 2x 1 +x4
(2番目のやつでは,合成関数の微分をきちんと行うこと.)
(b)f(x) =x−x3/3! +x5/5! +· · · はもういいでしょう.g(x)の方は,
log(1 +t) =t−t2 2 +t3
3 +O(t4) にてt=x4とおいてlog(1 +x4) =x4−x8 2 +x12
3 +O(x16) である.
(c)x= tanθとおいて置換積分して,最後にθをxで表す:
(積分) = Z
dθ=θ+C= arcsin
³x a
´ +C
もちろん,Cは積分定数.
問2:時間の関係もあるので,無味乾燥な答えで勘弁して.
(a)極限は1だろう. √
√ n
n−3−1 = 3
√n−3 これが²より小さくなるようにN(²)を決めると,
N(²) =
³ 3 +3
²
´2
ととればよいとわかる.
(b)極限は2だろう.
x4−2x2+ 3x−2 = (x−1)(x+ 2)(x2−x+ 1)
|x−1|< δ ≤1では0< x <2であって,この範囲では|(x+ 2)(x2−x+ 1)|<4×3 = 12である.従って,
δ(²) = min n
1, ² 12
o
ととれば,|x−1|< δ(²)では
|x4−2x2+ 3x−2|=|x−1| × |(x+ 2)(x2−x+ 1)|<12|x−1|< ² となって極限は確かに2である.
問3:まともにぶつかりすぎた人が多かった.教科書の最初のところではあるから...
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(a)問1(a)から
d
dtarctant= 1
1 +t2 = 1−t2+t4−t6+· · · なので両辺を0からxまで積分すると,
arctanx= Z x
0
¡1−t2+t4−t6+· · ·¢
dt=x−x3 3 +x5
5 +· · ·
となる.もちろん,まともに微分を5回行っても良いが,かなり時間がかかるよね.
(b)まともに微分すると死にます.ここは(a)を使って以下のようにするのが良いでしょう.sinyのテイラー展 開から,y= arctanxに対して
g(x)≈y−y3 3! +y5
5! =
³ x−x3
3 +x5 5 +· · ·´
−1 6
³ x−x3
3 +x5
5 +· · ·´3
+ 1 120
³ x−x3
3 +x5
5 +· · ·´5
=x−x3 2 +3
8x5 (c) cosxの展開から
xcosx=x−x3 2 +x5
24+· · · なので,
g(x)−xcosx=
³3 8 − 1
24
´
x5+O(x7) = 1
3x5+O(x7) よってn= 5の時に極限値1/3をとる.
問4:
anは単調増加ですが,上に有界ではありません.従って,無限大に発散します.
(上に有界でないことの証明)
Z x 1
1
tdtと比べても良いが,以下のようにやれば簡単.n= 2mの形をしていると ころだけ考えて(mは正の整数),このときのan=a2mが発散することを言えば十分だ.さて,
a2m−a2m−1 =
2m
X
k=2m−1+1
1 k ≥
2m
X
k=2m−1+1
1
2m = (2m−2m−1)× 1 2m = 1
2
これはmによってないから,
a2m = (a2m−a2m−1) + (a2m−1−a2m−2) +· · ·+ (a4−a2) + (a2−a1) +a1≥(m−1)×1 2 + 1 となって,これは発散する.
bnはちょっと難しい.(−1)kがついていることを積極的に使わない限り,出来ない仕組みになっている.このよ うに符号がかわるのは,nの偶奇で分けるのが良かろう.更に,(−1)kで何らかの打ち消し合いがおこってるはず だから,それも利用しよう.そこでまず,偶数の方だけやってみると,
cn :=b2n= Xn
k=1
³− 1
√2k−1+ 1
√2k
´
=− Xn
k=1
√2k−√ 2k−1
√2k√
2k−1 =− Xn
k=1
√ 1 2k√
2k−1(√ 2k+√
2k−1) これは負の項の和だから,cnは単調減少である.後は「下に有界」といえば良い訳だね.
そのためには,上の絶対値をとって,以下のように大まかに評価してみる:
Xn
k=1
√ 1 2k√
2k−1(√ 2k+√
2k−1) ≤ Xn
k=1
1 2(√
2k−1)3 <
Xn
k=1
1
k3/2 ≤1 + Z n+1
1
1
x3/2dx≤1 + 2 = 3 これでcnは単調減少で,かつ下に有界だから,収束することがわかった.
b2n+1の方は,b2n+1=cn− 1
√2n+ 1 の第2項がゼロにいくことから,cnと同じ極限に収束することがわかる.
よって,bnはnが偶数でも奇数でも同じ極限に収束する.
3
(cn=b2nが下に有界であることの別証)まず,以下のようにまとめてみよう:
b2n =−1 +
³ 1
√2 − 1
√3
´ +
³ 1
√4 − 1
√5
´
+· · ·+
³ 1
√2n−2 − 1
√2n−1
´ + 1
√2n
まとめた各項は正,最後の項も正だから,b2n ≥ −1がすぐに結論できる.
• anが意外にできが悪かった.このような数列の振る舞い(収束・発散)が直感的にわかることも大切で,そ のためにある程度の問題や例をこなす必要があります.
• 今回は中間のときよりも図を描いた人が多かったように思います.良かった.是非,全員が図を描くようにな りましょう.
• bnの方はまあ,仕方ないでしょう.一回考えたことがないと試験時間中には無理だろうとは思います.
問5:これはどれもちょっと難しいから,できなくても悲観するには及びません.あんまり簡単な問題ばかりでは 申し訳ないので,出してみました.
(a) 何となく「中間値の定理」だろうなあ,と思いついた人は筋が良い.でも思いついても,どんな関数を考え て中間値の定理を使うべきかで悩んだ人も多かったね.一つの解答例(多分,一番簡単)は以下の通りです.
関数g(x) =f(x+π)−f(x)を考えると,これはxの連続関数である.また,
g(0) =f(π)−f(0), g(π) =f(2π)−f(π) =f(0)−f(π) である(最後のところではf(x)の周期性を用いた).つまり,g(0) =−g(π)なのだ.
以下,場合分けする.
• g(0) = 0の時.このときは0 =f(π)−f(0)となって,x= 0が題意を満たす.
• g(0)6= 0のときは,g(0)とg(π)が異符号であるから,中間値の定理から,0とπの間の(少なくとも)1点 αでg(α) = 0となるはずだ.これはf(α+π) =f(α)を意味し,結論が証明された.
(b)以下を示せば良い.
(*) ∀² >0 ∃N(²)>0
³
n > N(²) =⇒ ¯¯¯an−an−1
n
¯¯¯< ²
´ そのために,まず²を固定する. lim
n→∞(an−an−1) = 0であるから,N1(²)が存在して,
k≥N1 =⇒ |ak−ak−1|< ² 2 がなりたつ.
さて,nがN1より十分に大きい時,an, an−1を2項ずつの差で書くと(以下はn−N1が偶数の時;これが奇数 のときも類似の式が成り立つが,時間の関係で略)
an = (an−an−2) + (an−2−an−4) +· · ·+ (aN1+2−aN1) +aN1 および
an−1= (an−1−an−3) + (an−3−an−5) +· · ·+ (aN1+3−aN1+1) +aN1+1
が成り立つので(時間の関係でn−N1が偶数の時のみ考える)
an−an−1= (an−an−2) + (an−2−an−4) +· · ·+ (aN1+2−aN1)
−(an−1−an−3)−(an−3−an−5)− · · · −(aN1+3−aN1+1) +aN1−aN1+1
が成り立つ.ここで2項ずつの差の絶対値は²/2より小さく,このような項は全部で(n−N1)項を超えない.従っ て三角不等式から
|an−an−1|<(n−N1)ײ
2+|aN1−aN1+1| つまり ¯¯¯an−an−1
n
¯¯¯< ²
2+|aN1−aN1+1| n
4
がなりたつ.第2項の分子はN1だけで決まるから,N1と²に依存するN2を持ってきて,
n > N2 =⇒ |aN1−aN1+1|
n < |aN1−aN1+1| N2 < ²
2
とできる.そこでN := max{N1, N2}ととれば,目標の(*)が示される.
(c)適切な図を描けば,後は平均値の定理一発.下の図を見よう.Aの座標は(x, f(x)),Cの座標は(x, x),Dの 座標は(x, f−1(x))であって,要するに線分 ACとCD の比(の符号を変えたもの)の極限を知りたい.
x y
y=x y=f(x)
y=f−1(x) A
B C
D
0 z x
x=f(z) f(x)
f−1(x)
これだけではまだわかりにくいが,点Dをy=xについて対称の位置に持ってきた点をBとすると,BCとCD の長さは等しい.つまり,問題の比の符号を変えたものはACとBCの長さの比なのだ:
f(x)−x
f−1(x)−x=−AC
CD =−AC BC
さて,点Bのy座標は点Cのy座標と同じだからxである.そこで点Bのx座標をzと一時的におくと,z=f−1(x) であり,つまりx=f(z)である.従って問題の比は
f(x)−x
f−1(x)−x =−f(x)−x
x−z =−f(x)−f(z) x−z となって,これは平均値の定理から−f0(ξ)に等しい(z < ξ < x).
さて,0< z < ξ < xだからx→+0ではξもゼロにいく.よって問題の仮定からf0(ξ)の極限は1;求める極限 は−1.
(種明かし)元ネタはV.I. Arnol’d著“Hyugens & Barrow, Newton & Hooke”のp.28からとった.Newtonの 時代,どこまで微積が進んでいたかを知る上で,この本はなかなか面白いのでお勧めだ.著者は非常に著名なロシ アの数学者,数理物理学で,面白い人です.なお,本格的にこの時代の科学史をやりたければ,山本義隆さんの一 連の本が良いでしょう.